痛いところだけを見ても分からないことがあります
足が痛くなったとき、まず気になるのは「どこが痛いのか」だと思います。
踵が痛い。
足の裏が痛い。
親指の付け根が痛い。
足の前の方にタコができて痛い。
もちろん、痛みのある場所を確認することは大切です。
しかし、同じ場所に何度も痛みやタコなどが現れる場合には、もう一つ考えてみたいことがあります。
なぜ、その場所に繰り返し負担がかかっているのでしょうか。
痛みが出ている場所と、そこへ負担を生じさせている原因が、必ずしも同じ場所にあるとは限りません。
足は多くの骨と関節からできており、それぞれが動きながら地面に適応しています。
ある部分の動きや位置関係が変われば、それを補うために別の部分が動くことがあります。
これが、足を見るうえで重要な**「代償」**という考え方です。
「代償」とは足が地面に適応するための働きです
代償という言葉を聞くと、何か悪いことのように感じるかもしれません。
しかし、代償そのものが悪いわけではありません。
私たちは平らな床の上だけを歩いているわけではありません。傾斜や凹凸のある場所でも、足は地面に接して身体を支えています。
そのため足には、地面の状態や自分自身の足の構造に合わせて、形や動きを変えながら適応する働きがあります。
例えば、前足部と後足部の位置関係によっては、立ったときに足の一部が地面へ接するため、別の部分で動きを補うことがあります。
このような働きによって、私たちはさまざまな状態の地面でも、バランスを保ちながら立ち、転ばずに歩くことができます。
問題になるのは、こうした代償が必要以上に大きくなったり、同じ場所へ負担を繰り返し集中させたりしている場合です。
症状の原因がすべて足にあるわけではありません
ここは、とても大切なところです。
身体の痛みや不調の原因が、すべて足にあるわけではありません。
年齢、外傷、仕事、スポーツ、身体の使い方、筋力、関節の状態、靴、活動量など、さまざまな要因が関係します。
足だけを見て、すべての原因を説明することはできません。
しかし私たちは、直立二足歩行をしています。
立っているときも、歩いているときも、足は身体と地面をつなぐ場所です。
地面から受ける力は足から入り、身体から加わる力も足を通して地面へ伝わります。
だからこそ、立つ・歩くという動作の中で繰り返される負担を考えるとき、
「足がどのように地面に接し、どのように身体を支えているのか」
を見ることは基本中の基本だと考えています。
足は立つと形が変わり、歩くとさらに動きます
足は、座っているときと立っているときで同じ状態ではありません。
体重が加わると、複数の関節が動き、足は地面へ適応します。
さらに歩行では、一歩の中でも足の役割が変化します。
接地後には地面へ適応するための柔軟性が必要になり、その後、身体を前へ進める段階では安定性が必要になります。
そのため、足を見るときには、
立ったときの足
を分けて考えることが重要です。
静止した足の形だけでは、歩行中に何が起きているのかまでは分かりません。
回内も「悪い動き」ではありません
「回内」という言葉を、足にとって悪い動きだと思っている方もいるかもしれません。
しかし、正常な歩行でも回内は起こります。
正常な歩行では踵の外側付近から地面に接地し、荷重していく過程で足部は回内方向へ動きながら、地面へ適応するための柔軟性を高めます。
そして歩行が進むにつれて、今度は身体を前方へ進めるための安定性が必要になります。
ですから大切なのは、
「回内しているから悪い」
と判断することではありません。
どの程度動いているのか、いつ起こっているのか、どのくらい続いているのか、そして足全体がどのように機能しているのかを考えます。
足への負担はさまざまな形で現れます
足の構造や機能、代償によって生じる負担は、必ずしも同じ場所に現れるわけではありません。
例えば、
外反母趾
足裏のタコ・魚の目
前足部の痛み
踵や足底部の痛み
など、現れ方はさまざまです。
また、歩行や走行では足だけが単独で動いているわけではないため、足部の動きと下肢全体の動きを切り離して考えることもできません。
ただし、ここで「この症状はこの足の動きが原因」と単純に結びつけることはできません。
重要なのは症状名から答えを決めることではなく、実際の足を見て、どのような負担が繰り返されているのかを考えることです。
※各症状については、いとう接骨院の症例・症状ページで詳しく紹介します。
【外部リンク:new-sight.foot-head.comの各症状ページ】
靴も足の機能に影響します
足を考えるとき、靴を無視することはできません。
私たちは日常生活の多くの時間を靴を履いて過ごしています。
靴を選ぶときには、価格やデザイン、ブランドなどに目が向きがちですが、足に合っているか、歩くために必要な機能を備えているかという視点も大切です。
靴のサイズや幅だけでなく、アウターソールの剛性、曲がる位置、ねじれに対する強さ、ヒールカウンターによる踵の保持などによっても、足を支える条件は変わります。
そのため、
価格やデザインだけで靴を選ぶのではなく、自分の足と使用目的に合った靴を選ぶことが重要です。
特に仕事では、安全靴、厨房靴、ゴム長靴など、足に合わせて自由に靴を選べないこともあります。
そのため、足の問題を考えるときには、
足だけを見る
のではなく、
足 + 靴
という関係も考える必要があります。
インソールを入れることから始めるわけではありません
足が痛いからインソールを入れる。
それだけなら、とても簡単です。
しかし、インソールにもさまざまな目的のものがあります。
柔らかい素材で足裏への圧力を和らげるものもあれば、靴のフィット感を調整するものもあります。
一方、ファンクショナルオーソティックスでは、足の構造と機能を評価し、その人の足に必要な仕様を考えます。
ですから、
「この症状には、このインソール」
という選び方から始めるものではありません。
まず足を評価する。
そして、荷重したときにどう変化するのか、歩行中にどう動くのか、どのような靴を使用するのかを見る。
その結果、必要であればオーソティックスを検討します。
インソールを選ぶことより先に、その人の足を知ることが必要です。
足を知ることから始める
足の痛みやトラブルには、さまざまな原因があります。
すべてを足だけで説明することはできません。
しかし、私たちは足で地面に立ち、足から一歩を始めます。
だからこそ、繰り返す負担を考えるときには、
足はどのような構造をしているのか
体重をかけるとどう変化するのか
どのような代償が起きているのか
歩くとどのように動くのか
どのような靴を履いているのか
を一つずつ見ていくことが大切です。
痛いところだけを見るのではなく、なぜそこへ負担が繰り返しかかっているのかを考える。
そして、その答えを最初からインソールに求めるのではありません。
それが、足の問題を考えるための基本だと私たちは考えています。

