ファンクショナルオーソティックスとは|一般的なインソールとの違い
ファンクショナルオーソティックスとは
「インソール」と聞くと、靴の中に入れるクッションや、土踏まずの形に合わせた中敷きをイメージする方が多いかもしれません。
しかし、インソールにはさまざまな目的や考え方があります。
ファンクショナルオーソティックス(Functional Orthotics)は、単に足裏の凹凸に合わせることだけを目的とするのではなく、足の骨格・関節の動き・前足部と後足部の関係などを評価し、荷重時や歩行時の足の機能を考えて作製するオーソティックスです。
そのため重要なのは、
「足裏がどんな形をしているか」だけではなく、「その足がどのように機能しているか」
という視点です。
足裏の形が同じでも足の機能が同じとは限りません
例えば、二人とも土踏まずが低く見えるとします。
見た目だけなら、どちらも同じような「扁平足」に見えるかもしれません。
しかし、一人は荷重すると大きく回内する足かもしれません。
もう一人は、静止した状態ではアーチが低く見えても、歩行時には比較的安定しているかもしれません。
また、前足部と後足部の位置関係によって代償的な動きが起きている場合もあります。
つまり、
足裏の形が似ている=足の機能も同じ
とは限りません。
だからこそ、オーソティックスを考える前に足を評価する必要があります。
【内部リンク:足部バイオメカニクスとは】
「足型を取ること」と「足を評価すること」は違います
オーダーインソールというと、
「足型を取って、自分の足の形に合わせて作るもの」
というイメージがあるかもしれません。
しかし、足型は足のある一時点の形を記録したものです。
それだけでは、
- なぜその形になっているのか
- 前足部と後足部がどのような位置関係にあるのか
- 荷重すると足がどのように変化するのか
- 歩行中にどのような動きが起こるのか
- その動きがどのタイミングで起きているのか
までは十分に分かりません。
ファンクショナルオーソティックスでは、足型を取る前の評価そのものが重要になります。
非荷重・荷重・歩行を組み合わせて考える
足は、座っているとき、立っているとき、歩いているときで状態が変化します。
そのためeeashi.comでは、足を一つの状態だけで判断するのではなく、
非荷重評価
体重をかけていない状態で、足部の構造、関節の動き、前足部と後足部の位置関係などを確認する。
荷重評価
立位で体重をかけたとき、足がどのように変化するのかを確認する。
動的評価
実際の歩行で、回内・回外やそのタイミングなどを確認する。
という複数の視点から考えます。
【内部リンク:歩行周期と足の機能】
回内を止めればよいわけではありません
「回内」という言葉を聞くと、足が内側へ倒れる悪い動きだと思われることがあります。
しかし、回内そのものは正常な歩行に必要な動きです。
接地後には、地面から受ける力に適応するために足部が柔軟になる必要があります。
一方、歩行後半では身体を前へ進めるために、足部の安定性を高める必要があります。
そのため重要なのは、単純に回内をなくすことではありません。
回内の大きさ、起こるタイミング、持続時間、そして歩行後半で安定性を高められるか
などを考える必要があります。
【内部リンク:回内・回外とは】
【内部リンク:過回内とは】
前足部まで評価する理由
足を後ろから観察すると、踵の傾きが目につきます。
しかし、踵だけを見て足全体を判断することはできません。
前足部と後足部には位置関係があり、荷重時にはそれに応じた適応や代償が起こることがあります。
また、その代償には完全代償・部分代償・無代償などがあり、すべての足が同じように動くわけではありません。
そのため、
「踵が傾いているから、その傾きを真っすぐにすればよい」
という単純な考え方では十分ではありません。
前足部・後足部・関節の可動性・荷重時の変化などを組み合わせて考える必要があります。
【内部リンク:前足部内反・外反とは】
なぜファンクショナルオーソティックスには硬さが必要なのか
一般的には「インソールは柔らかい方が足に優しい」と思われがちです。
確かに、クッション性を目的とするインソールでは柔らかさが重要になる場合があります。
しかし、足の機能を補助することを目的とする場合、柔らかすぎる素材では体重が加わったときに変形してしまい、意図した働きを維持しにくいことがあります。
そのためファンクショナルオーソティックスでは、目的に応じて一定の剛性を持つ素材が用いられます。
重要なのは、
硬ければ硬いほど良い
ということではありません。
足の状態、体格、活動内容、靴などを考えながら、必要な構造や剛性を選択することが重要です。
靴もオーソティックスの一部として考える
どれほど適切に作製されたオーソティックスでも、靴の中で安定しなければ本来の働きを発揮しにくくなります。
例えば、
- 踵を保持する部分が極端に柔らかい
- 靴全体が簡単にねじれる
- 足に合わない位置で靴底が曲がる
- サイズが合わず、靴の中で足が大きく動く
といった靴では、オーソティックスだけで足元を安定させることは難しくなります。
そのため、足・オーソティックス・靴を一つのシステムとして考えることが重要です。
靴とオーソティックスの関係は、眼鏡のフレームとレンズの関係にも似ています。
良いレンズを作っても、それを支えるフレームが不安定では十分に機能しません。
【内部リンク:靴の剛性とインソール】
Superglass(スーパーグラス)について
eeashi.comで紹介しているファンクショナルオーソティックスの一つが、米国 Northwest Podiatric Laboratory(NWPL)のSuperglass(スーパーグラス)です。
Superglassは一定の剛性を持つシェルを使用するファンクショナルオーソティックスです。
ただし、このページで重要なのはSuperglassという製品そのものではありません。
どの製品を使用する場合でも、その前に足の構造と機能を適切に評価することが重要であるということです。
Superglassの構造、素材、作製方法などについては、別ページで詳しく解説します。
日本で採型し、米国の専門ラボで製作
当院で取り扱うファンクショナルオーソティックスは、日本で足部の評価と採型を行い、その足型と必要な情報をもとに、米国ワシントン州のNorthwest Podiatric Laboratory(NWPL)で製作されます。
単に足裏の形を写して中敷きを作るのではなく、足部の評価をもとに、それぞれの足に必要な仕様を検討して製作へつなげていきます。
日本で行う足部評価・採型と、米国の専門ラボで行う製作工程が一連の流れになっています。
【内部リンク:Superglassとは】
オーソティックスは「作って終わり」ではありません
オーソティックスは、完成した時点ですべてが終わるものではありません。
実際に靴へ入れて立ち、歩き、
足がどのように反応するのか
を確認することも重要です。
また、使用する靴が変われば、オーソティックスとの組み合わせも変わります。
必要に応じてフィッティングや調整を行いながら使用していきます。
つまり、
評価 → 採型 → 作製 → 靴との適合 → 使用 → 再評価・調整
という一連の流れとして考える必要があります。
インソールを選ぶ前に、まず足を知る
ファンクショナルオーソティックスで最も大切なのは、製品名や素材だけではありません。
その人の足が、
どのような構造をしているのか
体重をかけるとどう変化するのか
歩行中にどのように機能しているのか
を理解することが出発点です。
足裏の形だけを見るのではなく、前足部と後足部、関節の動き、回内・回外、歩行などを組み合わせて考える。
これが、eeashi.comがファンクショナルオーソティックスを紹介するうえで大切にしている考え方です。
インソールを選ぶ前に、まず足を知る。
そこから、その人の足に必要なものを考えていきます。
【内部リンク:足部バイオメカニクスとは】



